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山ぶどうとシケレペ (シコロの実)

くもり

山ぶどうの酵母でカンパーニュを焼いてみた。
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暖かだった一週間ほど前、シケレペ(シコロの実)を採りに近くの森に入った時に、持ち帰ったほんの一握りの山ぶどうを使って発酵させたもの。

シコロの木は緩い坂道をずっと登った歩道沿いに何本もまとまって生えていて、木枯らしの吹くような秋遅くに沢山小枝ごと落ちている場所がある。
坂道を歩くのに疲れ途中であきらめて帰ろうとした時、枯葉の中から山ぶどうを見つけた。
近くの木に山ぶどうのつるが巻き付いて高い所にまだ実が少しぶら下がっていたので、自然に落ちたものかもしれない。

これまで何度か酵母づくりに挑戦したことがあったが、室温が低かったのかうまくいかなかった。
今回はストーブのそばで、時々相手をしながらのんきに待っていたのが良かったのか初めて手作り酵母でパンを焼くことができた。

クルミを入れて焼きあがったカンパーニュはワイン色をしていた。
元種を寝かせる時間が少なかったようでほんの少しワインの香りがして、やさしい野山の味わい。
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パンかごの手前の実は以前に採って乾燥させておいたシケレペ(シコロの実)。



シケレペ(シコロの実)はアイヌの人達にとって大事な食料で、少し苦みのある香辛料のような実はラタシケプと呼ばれるカボチャや豆などの煮物に入れ、日常食として儀式の時の食事として欠かせないもの。
また黄色い内皮と同じように実は胃薬などとして使われ、コルク質の外側の樹皮は箕等の日用品や簡易な舟の材料としても使われていたそうだ。

日本各地でシコロの内皮は胃腸の生薬(オウバク)として、黄色を染める染色材として古来より使われてきて、防虫や抗菌力に優れているため重要な文書を記す用紙を染めるのにも使われてきたそうだ。

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シコロの木には愛着があり、木肌を生かしたベンチを特別に作ってもらったり染色を楽しんだりしている。
独特の苦みを持つ実は、生食できるほど甘いものもあるそうなのでそんな木といつか出会いたい!


学名 Phellodendron amurense  ミカン科 キハダ属 落葉高木 和名 キハダ シコロ(東北 北海道)




by memo-herb | 2017-11-30 20:07 | 山野草 | Comments(0)
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